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テクノとテクノポップはどうやら違うらしい。

In リズムマシンの話, 音楽の話, 人生(ZIN-SAY!)の話 on 1月 7, 2012 at 6:30 am

この本も買ってみたけど初心者には難しかった。将来もう一回よもうかな。

僕はこのブログで「テクノっぽい」みたいなことをよく言うくせに実はテクノ方面に全く詳しくない。それではいかんと思って調べるうちにあることに気付いて衝撃をうけたのだ。それは、

テクノとテクノポップは別物

もしかしてみんなはすでに知っていることなのかも知れないけれど少なくとも僕はその明確な違いがわかっていなかったし、ほとんど同じだと思っていた。マジで。びっくりした。

テクノポップは

「テクノポップ」というのは1970年代後半から80年代前半ぐらいに流行った、日本でつくられた言葉。YMOを筆頭にP-MODEL、ヒカシュー、プラスチックスなんかが代表格。クラフトワークやバグルスも当時の日本ではテクノポップとしてカテゴライズされていたみたいだ。現在のパフュームとかに繋がるのかな。
シンセサイザーなどの電子楽器を使った未来っぽいサウンドが特徴(そういう音楽は海外ではシンセポップとか、エレクトロポップとか呼ばれていて、テクノポップは和製英語なのだ) 。

今ではシンセサイザーや打ち込みによる自動演奏が使われたポップミュージックというのはいくらでもあるけれど、当時はそういうのが最先端のテクノロジーを使った珍しい物だったし、そこから生み出される非人間的な音も当時は画期的だったはず。だからそれを「テクノポップ」と名付けて他のポップミュージックと分化していたんじゃないかな。
ミュージシャン側もまるでロボットのように振る舞ったりというような、楽曲の特徴(未来っぽさ、機械っぽさ、非人間的な感じ)を生かしたコンセプチュアルなパフォーマンスをしていたりしたみたい(パフュームのパフォーマンスもそういう感じあるよね)。

だけど電子楽器の普及とともにポップミュージックにシンセサイザーや電子音が使われる事は普通のことになってしまったから、そういう曲をわざわざ区別する必要もなくなって、「テクノポップ」という名称はフェードアウトしていったんじゃないかと想像している。
テクノポップが流行ったこと自体がテクノポップというジャンルが埋もれて消える原因だったと言えるかもしれない。それを再び掘り起こしたのが中田ヤスタカ(パフュームのプロデューサー)ってことかな。

テクノポップって「雰囲気」が大事

そう考えると、テクノポップが一度フェードアウトした1980年代半ば以降のテクノポップというのは、自らがテクノポップであるということに自覚的な必要があると思う。
シンセサイザーも打ち込みも当たり前の時代には、あえて普通のポップミュージックと差別化してテクノポップを自称しなければそれはテクノポップになり得ないのではないか。

だから逆に当初は、テクノポップのつもりはないのにシンセサイザーとかを使っているためにテクノポップにカテゴライズされた無自覚なテクノポップが存在していた可能性がある。

だけど現代では打ち込みも、シンセサイザーが使われた音楽もありふれているから、自覚的に未来っぽさ、機械っぽさ、非人間的なイメージを付加していかなければ普通のポップミュージックと区別がつかない。テクノポップにおいてはそういう未来的、機械的な「雰囲気」がとても大事だと思うのだ。
去年から話している「人生」というバンド(だいたい1986年〜1988年ぐらいの活動)もジャンルで言えばテクノポップで、彼らの「俺の体の筋肉はどれをとっても機械だぜ」という曲名なんかは、そのテクノポップの思想をとても端的にあらわしていると思うのだ。(テクノポップが廃れた直後のこの時代にはこれくらい明確に宣言しないとならなかったのかもしれない。)

ところで当時から、「テクノポップ」は略して「テクノ」と呼ばれていた。これが「テクノ」と「テクノポップ」が混同される大きな原因だと思う。実際P-MODEL、ヒカシュー、プラスチックスは「テクノ御三家」なんて呼ばれてたんだって。今でもおそらく文脈によっては「テクノポップ」を指す言葉として「テクノ」が使われていたりする。

それでテクノは

一方「テクノ」はアシッドハウスやデトロイトテクノをルーツとしている。これらはクラブで生まれた音楽で、いわゆるダンスミュージック。だからテクノは基本的にはダンスミュージックなのだ。もしかしてテクノポップとテクノの一番の差別化ポイントはここかもしれない。未来的、機械的なイメージやそれが最先端である事よりも、新しいダンスミュージックを生み出す試行錯誤の中でリズムマシンやシンセサイザーが使われたという感じだ。
ちなみにここでのリズムマシンの使われ方というのは僕が前に話したリズムマシンの良さの話にかなり通じている気がしている。80年代後半になって値段が下がり始めたリズムマシン。それは安価かつ簡単に独創的なダンスミュージックを作るのに最適だったのだろう。同じフレーズを反復するシーケンサーが、ダンスミュージックと相性がよかったというのもあると思う。

ところでどうやら「テクノ」という世界共通の単語が誕生したのは1988年ぐらいの事のようで、日本の「テクノポップ」より約10年遅い生まれ。しかもこの「テクノ」ムーブメントは日本においては当時ほとんど無視されてしまっていた。
だから今でも「テクノ」を「テクノポップ」のことを指す言葉として認識してる人は結構いるんではなかろうか。

テクノとテクノポップは別物だけど

テクノとテクノポップは別物だけど、結構相互に影響を与えあっていて、テクノのミュージシャンにはYMOやクラフトワークの影響を受けた人が多くいるし、逆に現在のテクノポップにはかなりテクノの要素が流入しているように思う。
だからもしかすると現在の日本においては「テクノ」と「テクノポップ」の境界を過剰に意識する必要って薄いのかもしれないし、実際両方をまとめてひとつのジャンルとして「テクノ」と呼んでる人も今の日本にはいるように思う(エレクトロ、というような括り方もあるようだね)。
だけどもともと時代も場所も違う全く別のムーブメントであった事は心に留めておくべきだと思うんだ。
この長い長い文章をすごく大ざっぱにまとめると、

・テクノポップは70年代後半から80年代前半に日本で生まれた言葉で当時最先端だったシンセサイザー等の電子楽器を使って作られたポップミュージックを指す。
・テクノは90年代に海外(イギリスとか)で生まれたダンスミュージック。アシッドハウス等をルーツとして、クラブで生まれた音楽。
・当時からテクノポップは略してテクノと呼ばれていたし、現在ではテクノとテクノポップは相互に影響を与え合っているので混同しやすいが、元々生まれも育ちも全く違うものであった。

というのが要点。こういう感じで認識しておくといいかもしれない。
だけどこれは全く僕個人の、今の見解なので鵜呑みにしすぎないように注意して欲しい。

それとこの認識は僕の中で本当にごく最近生まれたものなので、これより過去の記事では「テクノポップ」の意味で「テクノ」という言葉を使っていたりするかも。というか何個か思い当たるフシがある。
それらはあえて修正しないけれど、このブログでは今後は明確に「テクノ」と「テクノポップ」を分けて使っていくように気をつけたい。

だからもし君が「俺、テクノ大好きなんだよねー。」という人に出会ったら、まずはその人が「テクノ」をどういう音楽として認識しているかをそれとなく確認してからでないと、話が食い違ってしまうかも。

 

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