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アルバム「Let It Be」を初心者にお勧めしない、いくつかの理由

In ビートルズの話, 音楽の話 on 7月 28, 2013 at 12:05 pm

ビートルズのアルバム「Let It Be」について。

収録曲

Two Of Us

Dig A Pony

Across The Universe

I Me Mine

Dig It

Let It Be

Maggie Mae

I’ve Got A Feeling

One After 909

The Long And Winding Road

For You Blue

Get Back

 
レット・イット・ビーが入ってるアルバム

聴いたことないバンドを聴き始めよう!という時、とりあえず知ってる曲が入ってるアルバムから聴き始めるというのはよくあることだと思う。
ビートルズを聴き始める場合に最初に聴くアルバムとして、ヒット曲「レット・イット・ビー」が入っているという理由でこのアルバムをツタヤとかで借りる人が結構いるみたい。僕の友人もそうだった。
しかしこのアルバムはビートルズの全アルバムの中でも最も特殊と言っても過言ではないアルバムで、最初の一枚としては正直オススメ出来ない。どちらかというと「未発表曲集」みたいなものに近いと思ったほうがいいかもしれない。だからこのアルバムがビートルズの第一印象になる事は、その人の中にかなり歪んだビートルズ像を形成しかねないのだ。
それでは具体的にどう特殊なのか見てみよう。

 
プロデューサーが違う。何故か?

ビートルズのオリジナルアルバムは、このアルバム以外の全てのアルバムがジョージ・マーティンという人のプロデュースである。だけどこのアルバムだけはフィル・スペクターという人のプロデュースなのだ。
それには複雑な経緯があるので、その経緯を見ていこう。
ちなみ結構大雑把に説明するので、詳しく知りたい人は後でWikipediaでも見て。

 
ゲット・バック・セッション

このアルバムが制作された1969年ごろのビートルズはメンバー同士の不仲や、ジョン・レノン(ギター)がオノ・ヨーコにメロメロだったり、とにかく解散の危機にあった。
それをなんとかしようということで始まったのが「ゲット・バック・セッション」。コンセプトとしては名前のとおり「昔に戻ろう」、過度なオーバーダビング(録音された物の上からさらに別の楽器やコーラスを重ねて録音する事。つまりは4人が同時に演奏できる以上の音を入れる事。)をしないで、デビュー当時のようなバンド編成の一発録りでレコーディングしようよ!という感じ。
発案者はポール・マッカートニー(主にベース担当、「Let It Be」を歌ってるあの人)。たぶん彼はビートルズに対して、常に最もやる気があったメンバーで、他のメンバーから「あいつは仕事の虫だ」なんて言われてたらしい。

 
投げ出した結果のフィル・スペクター

しかし、いくらビートルズといえど、そんなやる気のない不仲な状態では上手くいくはずもなく、いくつかの収穫はあったもののレコーディングは頓挫してしまう。メンバーは自分たちでアルバムを完成させる事をあきらめ、フィル・スペクターというプロデューサーに全て託してしまう。

というわけで簡単にいうと、フィル・スペクターがその頓挫した「ゲット・バック・セッション」のレコーディングから、聴くに耐えるものを抽出して集め、形を整えたのがこの「レット・イット・ビー」というアルバムなのだ。

フィル・スペクターは依頼を受けてこのアルバムをプロデュースする過程で、ビートルズがレコーディングした曲の多くを編集したりオーケストラをオーバーダビングしたりした。
これには賛否両論あるのだけど、当初のコンセプトと異なるやり方にこのレコーディングの発起人であるポール・マッカートニーはかなり怒ったらしい。
アルバムの発売を中止する訴訟を検討したり(結局してないけど)、後日(2003年!)本来のコンセプトに従ってオーケストラを排除した「Let It Be…Naked」(曲順や収録曲も少し違う)を制作したほどだ。

 
スタジオ録音とライブ録音の混合

もうひとつビートルズのアルバムとして特殊なのは、スタジオでの録音とライブ録音が混合で収録されている事だ。
ゲット・バックセッション中に、ビートルズは自社の屋上でゲリラライブを行なっている。このライブは個人的に素晴らしいと思っていて、前述のとおりモチベーションが低かったはずの、しかもライブ活動を休止していた時期にこれだけの演奏ができてしまうのがビートルズのすごさを物語っていると思う(同時期のスタジオでのグタグタ具合が音源や映像で残っているので余計にそう思う)。

収録されている曲のうち、その屋上ゲリラライブからの収録は
Dig A Pony
I’ve Got A Feeling
One After 909
の三曲。
どれも名演であると思う。
アルバムの最後に収録されている「Get Back」は、そのライブでも演奏されているけど、ここに収録されているのはスタジオ版の最初と最後にライブでのMCをくっつけた疑似ライブ版だ。

ちなみにこのライブからジョン・レノン作曲の「Don’t Let Me Down」という曲だけが唯一収録されなかった。すごーくいい曲なんだけど、2回演奏されてジョンは2回とも歌詞を間違えている。おそらくこの曲が収録されていない理由はそれだろう。
だけど前述の2003年発売「Let It Be…Naked」には歌詞を間違えていないライブ版「Don’t Let Me Down」が収録されている。2回の演奏の、歌詞を間違えていない部分を編集でくっつけているのだ。
それ以外にも「Let It Be…Naked」にはかなりの編集、ツギハギが施されているらしい。オーケストラが入っていないのは確かなんだけど。

 
そもそも映画のサントラ盤

上記のレコーディングおよびゲリラライブは撮影されていて、後日映画「Let It Be」として上映された。
つまりこのアルバムは「Let It Be」という映画のサウンドトラックなのだ。

ところでビートルズのアルバムの暗黙のルールとして、必ずリンゴ・スター(ドラム)のボーカル曲が一曲入っていた。しかしこのアルバムにはそれがない。メンバーがリンゴに提供する曲は意外と名曲が多いし、単純にリンゴの声が聴けないのは残念だ。(おそらくこのセッションの時期にリンゴが作曲していたと思われる曲が、後にレコーディングされたアルバム「Abbey Rord」に収録されている「Octopus’s Garden」。)
ちなみに同じく映画のサウンドトラックであるアルバム「Magical Mystery Tour」にもリンゴのボーカル曲は無い。

 
まとめ

僕はこのアルバムが憎いわけではない。好きな曲も多いし。
「フィル・スペクターは悪!」みたいな見方の人もいるけど、彼に託される前にアルバム「Get Back」としてまとめられたテスト盤(の海賊盤)を聴くと、むしろ「フィルがんばったね!」とさえ思う。
ただ最初に聴くアルバムとしては適してないな、と思っているのだ。どちらかというとビートルズが好きになってから聴くアルバムじゃないだろうか。

理由を簡単にまとめると
・プロデューサーが違う
・当初のコンセプトに合わない編集やオーバーダブ
・メンバーが投げ出したものである
・スタジオ録音とライブの混在
・リンゴが歌ってない

じゃあ何から聴いたらいいのよ!というのもまた後日まとめようと思っています!

Let It Be
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