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「地獄でなぜ悪い」はリアリティ至上主義者を暴力的に論破する

In 映画の話 on 11月 6, 2013 at 12:52 pm

 
星野源の似顔絵
 
映画「地獄でなぜ悪い」を観てきました。良かった。久々に手放しで良かったと言える映画。
今回はネタバレしないように書きましたよ!
 

グロいけどグロくない!

まず、あなたが「グロそう(怖そう)だからな…」という理由でこれを見るのを躊躇してるならば、大きな損だから勇気を出して観て欲しい。

確かに血はいっぱい出るし、手も首も切り飛ばされる、死人の数は半端ではない。
だけれどもその血の出かた、首の飛びかた、すべてが大げさでまるで漫画のよう。まさに「過ぎたるは及ばざるがごとし」という言葉どおり、過激すぎて逆に全く怖さはない。ワンピースのゾロの出血シーンに耐えられるのならば大丈夫だと思う。
言い換えればホラー映画的な、観客を怖がらせるための暴力描写とは演出の仕方が全く違う
リアリティとか、重力とか、生きてるとか死んでるとか、細かいことはどうでもよい。面白いのだから!
 

星野源!

僕は実は星野源をミュージシャンとしてしか知らなくて、つまり、俳優としての星野源を観たことがなかった。
しかし改めて役者として、まさに個性派俳優な感じで演技している彼をみると、彼の音楽がより愛おしくなるなあ。
主題歌も彼らしくていいと思います。最後がこの曲で終わるのが、この映画の後味をかなり良くしていると思う。
それとゆらゆら帝国が挿入歌で使われてましたね。
 
 
観客の気持ちをつかむのが上手い

ヤクザ同士の抗争を、ヤクザが映画に撮る。しかもヤクザの親分の娘が主演。しかも時間もない。そんなの無理だし理不尽だ!
だけど!絶対、僕を含めた観客全員が

「なんとか娘主演の映画を撮ってあげてほしい…!」

と思ったはず。
僕らをそう思わせるまでのストーリーも、もし今からここで文章にしたら、そんなことありえるか!というメチャクチャな流れなんだけど、それでも僕らはヤクザ達の映画の完成を切に願うはめになる。荒唐無稽な設定でも、感情移入はできるという事をこの映画は証明した。

映画って、観てる人が楽しく、スクリーンの前に座ってる間だけ納得できれば、それでいいんだよな。
むしろ映画なんだから、ありえないことするべきだろ!その方が面白いだろ!
と、胸倉をつかまれながら、でもキラキラした目で怒鳴りつけられたような。そんな有無を言わせぬ、暴力的かつ真に迫る、ものすごい説得力を僕は感じた。
なので細かいストーリーは実際映画を観て頂きたい。
 

堤真一!

僕は元々、ドラマとかで観る堤真一にはすごく好感を持っていた。今回も当然良かった。本当に彼らしい、男らしさとコミカルさとある種の可愛いらしさを併せ持った演技。改めて、やはり俺の目に狂いはなかった!というか、この映画で堤真一を好きになった人全員に「俺はこの映画を観る前から好きだったもんね!!」と言って回りたい。
役柄としては、映画を撮る側のヤクザに撮影機材と共に殴りこまれる、相手側のヤクザのボス。そして10年前と現在を繋ぐ意味でも重要な役割だ。
 

園子温のやり方(ペンギン)

この映画の監督は、園子温(その しおん)という人である。日本人。
僕は園子温監督の映画は、実は「冷たい熱帯魚」しか観てないので監督の全体像は把握できていないんだけど、「冷たい熱帯魚」と比べただけでも、いくつか共通するものを感じた。

まず、共通する役者が結構ちらほら。「○○と××が同じ俳優だった!」とか詳しくは書かないけど、誰でも分かるレベル。
もしかして手塚治虫の漫画に鼻のでかいおじさんが毎回出てくるみたいな、意図的なシステムなのだろうか。
そもそも監督が気に入った役者を何度も使うというのはもしかしてよくあることなのか。
ところで舞台がどちらも静岡県だったと思うんだけど(たぶん)、なぜだろう。

それと全体の流れが似ている。
前半、役者と舞台とタイミングが完全に出揃うまでは結構じれったい。僕らは明らかに焦らされている。
だけどそれでも耐えられるのは、随所に散りばめられたエログロと暴力と、そして笑いが僕らを飽きさせないからだ。
そしてクライマックスに差し掛かると、それが解放されたように、物語が一気に疾走し始める。

例えるならば、陸を歩いているペンギンと、水中を泳ぐペンギンぐらいのスピード差。
…物語は10年前から始まる。よちよち歩きのペンギンは、ヤクザが映画を撮り始めるところまでなかなかたどり着かない。主要人物同士が、なかなか出会わない。じれったい。

そして!ようやくペンギンが水中に潜ると、映画館内の気温が上がりはじめる(比喩じゃなくマジで暑くなった)。額に汗が滲む。コーラを口に含む。
ペンギンの群れは縦横無尽に泳ぎ回り、血はでるし、人は死ぬし、日本刀、マシンガン、コカイン、斬殺、射殺。観客は、声を出して笑う。
最後には(スタッフロールが終わるまで、誰も立ち上がらなかった)、観客から自然と拍手が起こった。拍手が起こるなんて、マイケルジャクソンが死んだ時のあの映画以来だ。

ちなみに
エログロ度は「冷たい熱帯魚」の1/3、笑いは5倍、死者数は10倍、という印象。
登場人物のほとんどがバカで、みんな声がでかい。全体としてかなりポップにまとまっている。

 
まとめ

エログロバイオレンスと、笑いのバランス。焦らしと爆発のバランス。バカばっかりだけど殺陣はしっかりキマってたり、緊張と弛緩のバランス。どれも絶妙。
そして、リアリティなど大した問題ではないということを、ドヤ顔で突きつけてくる。こんなに血が出るわけないだろ!とか、こんだけ撃たれて生きてるわけない!とか、指摘する方が野暮に見えるほど。
現実に忠実であることに、なんの意味も無い。面白ければそれでいいのだ。という当たり前の事実を痛快に示している。

夢とか愛とか恋とかのために、ここまでバカになれる、死さえも恐れない人達の姿に、ちょっと悔しいくらい勇気づけられる。むやみに叫んだり、走ったり、求愛したりしたくなる。
もっとはやく観れば良かった。

 

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